冷徹副社長と甘やかし同棲生活
もっとおしゃれで広い部屋に住んでみたいって思っていたけれど、離れるとなったとたんに恋しくなるから不思議だ。
お嫁にいく訳でもないというのに。
「そりゃ、母さんだって寂しいよ。父さんはもっと寂しがってる。本当のことを話したら心配して反対しただろうね」
「私は、母さんが全く反対しなかったことに驚いたよ」
副社長との話を終えて店に戻ると、まだ父さんは帰っていなかった。あの日は肉屋の佐藤さんと話し込んでいたせいで遅くなったらしい。
母さんは「帰りが遅い」って怒っていたけれど、私には好都合だった。父さんに借金や同居の話をする勇気がなかったからだ。
母さんと相談した結果、父さんには正直に話さない方がいいということになって、“同期(女)とルームシェアをする”と嘘をついている。