冷徹副社長と甘やかし同棲生活
 
「3811号室、ここが俺の部屋だ。忘れるなよ」

「はい、あとでメモしておきます」

「メモか。さすが新入社員だな」


 副社長がドアにカードをかざすと、カチャという音が聞こえた。
 扉を開いて中に入ると、自動的に明かりがついた。玄関は大理石でできている。

 車と同様、傷をつけないように注意しないとと思った。

 玄関には副社長が履いていた革靴以外、何もなかった。
 靴箱にきちんとしまっているのだろうか。

 パンプスを脱ぎ、脱ぎ捨てっぱなしの革靴も一緒に向きを揃えた。

「柏木、こっちだ」

 声を頼りに廊下を歩いていく。半開きの扉の向こうに副社長がいるようだ。


 
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