冷徹副社長と甘やかし同棲生活
 
 この扉の先にはどんな世界が待っているのだろう。
 
 想像以上に広いリビングにはセンスのよいインテリアが置かれ、カウンターキッチンには最新の設備がそろい、
大きな窓からは、展望台よりも美しい景色が広がっているかもしれない。

 
 あの副社長が普段生活している部屋なんだもの、期待せずにはいられない。
 私は高鳴る胸をおさえてドアをそっと押した。


「失礼しま……」


 部屋に入った瞬間、私は驚きのあまり言葉を失ってしまった。
 扉に手を添えたまま、身体が動かない。

 なぜなら、部屋は誰かに荒らされていたからだ。

 床は本や雑誌、書類が散らばっていて、ソファには衣服が乱雑に置かれている。
 壁際にあるチェストの棚はすべて出ていて、物が飛び出している状態だった。
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