冷徹副社長と甘やかし同棲生活
 
 それは――


「もしかして、これは全部……」

「ああ、しいて言うなら、“犯人”はこの俺だ」


――部屋は荒らされたのではなく、最初から荒れていたということ。


「探し物をしているうちに、少し散らかってしまってな」


 いや、“少し”どころの騒ぎではない。


「言い訳するつもりはないが、散らかっているといっても、全ては計算された配置なんだ」

 
 言い訳にしか聞こえないし、ただ物が乱雑に置かれているようにしか見えない。


「とにかく、この話は終わりだ。コーヒーを飲みながら今後についての話をしたい。コーヒーメーカーはキッチンにあるから、淹れてくれないか」


 副社長はブラックのコーナーソファに、ゆったりと脚を組んで座っている。
 足が長いから、そのポーズはとても様になっているのに、部屋が散らかっているせいで全くかっこよく見えない。

< 88 / 321 >

この作品をシェア

pagetop