冷徹副社長と甘やかし同棲生活
「期間については考えていませんでしたが、一年は短い気もします」


「そうか。まあ、とりあえず一年を目途としておこう。商店街問題がどういう方向に行くのかもわからないし、様子を見ながら相談だな。では、次に、これを渡しておく」


 副社長はガラステーブルの棚から茶封筒を取り出して、私の前に置いた。
 中にはICカードと、銀行のカードと通帳、そしてクレジットカードが入っている。


「家の鍵は説明不要だな。銀行のカード類は、家事に必要な時に使ってくれ。五百万ほど入れてあるからしばらくは足りるだろう」


「五百万も……」


 こんな大金が入った通帳を手にするのは初めてだ。
 おそらく、私の年収よりも多い金額がこの中に入っている。

 落としたら怖いから持ち歩くのはやめておこう。
< 95 / 321 >

この作品をシェア

pagetop