俺の罪、甘い罰。
すぐに思い出したんだ。


あの雨の日の出来事を―…




それを聞いて河原は


「そうですね。」


と、恥ずかしそうに笑った。



そんな彼女を見て、つい、


「あの時、本当はわざとあそこにいたのか?」


と、いたずらっぽく訊ねると、


彼女は“フフフッ”と笑いながら、


「…知らない。こっちのお部屋、借りてもいいですか?」


と、早々にリビングの隣にある仕事部屋へと消えていった。




『逃げられた。』


そう思いながら、毛足の長いラグが足元に広がるリビングのソファに座った。


今の俺の部屋は2DK。


そんなに広くないリビングの他に、ベッドルームとして使っている部屋と、パソコンや仕事に関する物が置いてある部屋がある。


2つの部屋は、どちらもリビングからすぐに入る事が出来て、なかなか使い勝手の良い間取りだと思う。



俺はテレビをつけ、河原が着替え終わるのを待っていた。


待ちながら、心の中では


『早く』


そう、思っていた。



少しでも近くにいて欲しいんだ。


心も体も、もっと近くに。


せめて、今だけでも―…
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