恋の後味はとびきり甘く★おまけSS★
 そうしてホテルに戻って、まだ夕方だというのに涼介くんと肌を重ねた。気づいたら大きな窓の外は暗くなっていた。

 結局、観光に行きそびれちゃったけど、でも、ま、いっか。

 私は身も心も満たされ、涼介くんの胸に頬を寄せて彼の鼓動が少しずつ落ち着いていく音を聴いていた。

 手のひらをのせた胸板は厚くて、私の背中に回された腕は逞しい。私をすっぽり包んでくれて、なにより、どんな場所よりも安心できる。

 私は幸せな気持ちに浸りながら、ぼんやりとこれからのことを考える。

 明後日、ブリュッセルのショコラトリーに買い付けに行ったら、その二日後には日本に戻る。そうしたら、私と涼介くんのお店がオープンするのだ。

 そう思ったとき、涼介くんが言葉を発した。

「楽しみだね」

 涼介くんもお店のオープンを楽しみにしてくれているんだ。また以心伝心だと思うと、口元がほころぶ。

「うん」
「モン・トレゾーの拡張工事も終わったし、俺が厨房でチョコレートを作って、鈴音さんが店で売る。ワクワクするね」

 涼介くんの声が嬉しそうで、私も嬉しくなる。

「うん、ホントに」
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