Sの陥落、Mの発症
好青年の裏側

両腕で囲われた狭い視界に見たことのない熱を持った瞳。

彼は吐息のかかる距離で私を世界から遮断する。


「佐野…くん…」

上手く舌が回らずに上擦った声になる。

「逃げられるなんて、思ってないですよね?」

頭の中に浸透していく呪いにも似た囁き。

逃げないといけないと思うのに身体が動かない。


どうしてこんなことになってるの?

私はただ仕事をしていただけなのに…!


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