四つ葉のクローバーを贈られました
息をする時音が鳴る喘鳴も一時よりは収まってきて、とりあえずは安定している。
青年の手をとり、脈も診てみた。
……まだ早いけど、ステロイドは必要ないかな。
後は念のため救急車で運ばれた先の病院できちんと診察してもらえれば。
「本当ならうがいをして欲しいところなんですけど……ちょっと待っててください」
近くの自販機から水を買って、青年の元に戻った。
キャップを開けて青年に渡し、後ろから様子を窺っていた空港係員に紙とペンを持ってきてもらうようお願いした。
「ゆっくりでいいので、口をゆすぐようにしてから呑み込んでください」
「……ありがとう、ございました」
「いいえ」
か細いながらも声を出せるならもう大丈夫だね。
まさか空港内で診療行為するなんて……ドラマじゃ見かけるけど、実際にするなんて思いもよらなかった。
「誰かお連れの方は?」
「運転手が外に。黒のベンツです」
「ベンツ……」
高級車だってことは分かるけど、実際どれがベンツかと言われると全く当てる自信はない。
案内カウンターの女性から連絡を受けたのか、制服を着た男性係員が走ってこちらにやって来たので、そっちは任せることにした。
紙とペンを受け取り、これから病院で診察を受ける時に必要な情報を書き込んでいく。
発作が起きた大体の時間、吸入薬の回数、処置後の処理、後は搬送先の医師が他にも確認したいことがあった時用に私の名前と連絡先を書いておいた。