四つ葉のクローバーを贈られました



到着した先の病院で、救急外来ではなく、容体も安定していることから呼吸器内科の外来に回された私達。


その後、ようやく回ってきた順番の時には彼は至って平常時の体調に戻っていた。




「これなら大丈夫でしょう。お薬の残りはどれくらいありますか?」


「次回の診察時までの分はまだあります」


「なら、それをきちんと服用してくださいね」


「分かりました」


「お大事に」




初老のおじいちゃん先生がニコリと笑みを浮かべ、見送ってくれた。


カルテに入力していた医療秘書の女性が開けてくれたドアを出て、私達は再び待合に戻った。




「喘息の発作は結構頻繁に?」


「……えぇ。生まれつき身体が弱くて」


「あっ!別に悪いとかじゃないですよ?ただ、ちょっと聞いておいた方がいいかなって」


「それは正式に私の家と契約してくれるから、ということでいいですね?」




うーん。


正直、まだ悩んでるんだけど。


医師免許をとってまだ四年しか経っていないピヨピヨの私に、専属医なんて大役務まるはずがない。


西森先生がどんな思惑で私を推薦したのかも分からないし。


それになにより、よくこの人の家もOKしたよなぁ。


自分ならもっと有名な人に打診するけど。



……というか、専属医持とうとするなんてどれだけお金持ちの家系なの!?


今さらだけど、目の前にいる人がどこぞの御曹司なんだと改めて感じた。


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