四つ葉のクローバーを贈られました
でも、西森先生は医学部時代の恩師だし。
この人も悪い人じゃなさそうだから……まぁ、頑張ってみるのもいい、かな?
決して小此木さんが儚げさを持ち合わせた端正な顔立ちなので、毎日が眼福生活できるからとOKする……とかではない。
面食いなのは友人のキャシーだけだ。
「……分かりました。とりあえずお引き受けいたします」
「ありがとうございます。良かった。断られたらどうしようかと」
「どうして私を?」
「……秘密、です」
「はぁ。秘密……」
それ以上は決して話してはくれなさそうな雰囲気を出しているものだから、無理に聞き出そうとすることはやめた。
「そういえば、まだお名前ちゃんとお聞きしてなくて……ごめんなさい」
「……いえ、小此木咲夜です。これからもよろしくお願いしますね?」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
せめて紹介してくれた西森先生の顔に泥を塗るようなことはしないようにしなきゃ。
小此木家の他の方ともちゃんと親密になれるといいけど。
すでに空港に迎えに来ていた運転手の人が迎えに来ているという知らせが入り、会計を手早く済ませ、外に出た。
横づけした車の運転手さんにドアを開けてもらっているので、色んな方向から好奇の視線が飛んでくるのが分かる。
それを遮るようにして素早く乗り込んだ。
なんだか今日は本当に疲れたし、時差ボケなのか、猛烈に眠い。
運転手さんの卓越した運転技術により揺れをほとんど感じさせない車内は、私にとって揺り籠でしかなかった。