四つ葉のクローバーを贈られました
小此木家ーおこのぎけー
「……い。圭さん、起きてください」
「んー」
あと少し、もう少しだけ寝かせて。
ちゃんと起きるから。
しかし、無情にも身体を揺り動かされ、半ば強引に目覚めを余儀なくされた。
顔にかかるこそばゆい柔らかな髪の感触、羨ましいほどの線の細い整った顔……。
んんっ!?
寝ぼけ眼(まなこ)で目の前にあるものをジッと見つめ、ソレが何か、誰か悟った時、一気に目が覚めた。
「ごめんなさいっ!!」
疲れていたとはいえ、なんて失態。
雇い主の前で寝こけるなんて……終わった。
西森先生、私やらかしちゃったよ。
早々にクビかも。
「フフッ。大丈夫ですよ。長旅で疲れているんでしょう?起こしてしまって申し訳ないんですが、着いたので一度降りて頂けると嬉しいです」
……小此木さん、貴方やっぱり見た目通りの優しい人だ。
「佐倉さん?」
「あ、はいっ!降ります降ります!」
「頭に気をつけて」
小此木さんが先に降りて、ドアの縁に右手を当て、左手を伸ばしてくれた。
その手を取ると、ふんわりと優しく手を包み込まれ、私が地面にきちんと足をついて出てくるまで繋がれたままだった。