悪魔の証明
マリー・ジェーン



二日たった。BJCの集会まで、後五分……時間が惜しい。

私は彼女を守らなければならないのだ。
 
彼女を守るとは、BJCのメンバーを残らず牢屋にぶち込むことと同意義である。彼らは一度罪を償った方がよい。私はそのために、BJCに潜り込んだ。だけど、彼らはその正体をいまだみせない。私は彼らが本当は誰なのかさえ知らない。二重、三重にも海外プロキシが使用されていて、そこから彼らのIPアドレスを調べることはできない。

サイバーチームには頼めば他国サーバのIPアドレスの捜査は可能かもしれないが、もちろん終了した事件の再捜査は許可されていないので、彼らに依頼することは到底不可能だ。今現在一介の警察官である私が潜入捜査をしてしているだけでも十分な違法行為だ。ゆえに同僚に協力を要請することさえできない。

私個人でやるしかないのだ。
 
幸い、私は米国の某大学でシステムエンジニアを専攻していた時期があり、専門家でこそないがネットワーク・コンピューター技術には明るいと自負している。だからこそ、彼らの難解なパスワードを解き、BJCメンバーに選ばれることが可能だったのだ。

今現在の私の立ち位置をここで確認しておこう。
犯罪学上私の立場は、彼らに比べて有利な状況にある。

状況の分析は以下の通りだ。

有利な条件ーー
奴らは私がどこの誰であるかを知らない。
私が潜入捜査を行っていることさえ知らないーそれどころか仲間だと思っている。

不利な条件ーー
実際に彼らが誰なのか知らない。
私は彼らのIPアドレスを知らないーーつまり彼らの住所を知らないと同等のことだ。


< 6 / 13 >

この作品をシェア

pagetop