真実の愛に気づいたとき。


***


またどんよりとした空模様。ゼミの講義でグループワークをすることになり、そのくじ引きをする。


私の大嫌いな時間だ。


番号が書かれた紙を一人一枚ずつ引き、同じ番号の人とグループを組む。


開いた紙に書いてある番号は"5"だった。ボードに書かれた"5"の数字の下に名前を書いていく。


私がそこに記名する際、背中に突き刺さるような視線を感じた。誰も私と組みたくないんだろうな…






「じゃあ、グループ5は上野さん、川崎さん、そして西田さんだな。グループごとに別れてくれ」


先生の言葉と同時に全員席を立つ。ボードの座席振り分け表を頼りに自分がいるべき場所に移動した。


同じグループの上野さんはキツめの女子。明るいストレートの茶髪につり上がった眉、アイプチかメザイクを使っているのか、少し不自然に見える二重のラインが気になる。


私と目が合った瞬間明らかに嫌な顔をされた。


もう一人の川崎さんは、上野さんとは対照的な子で、セミロングの黒髪を後ろでひとつにまとめ、度の強そうなメガネを装着している。


系統の違う3人がよく揃ったものだ。上手くやっていけるのか不安でしかない。



「あ、あのっ。よろしくお願いしますっ」


声を上ずらせながら緊張気味に言ったのは川崎さん。さっきからずっと下を向いている。もしかして、人と関わるのが苦手なのか…?


「あーあ。地味子に売春女とか、ついてねー」


わざとらしく声を上げる上野さんに、周りの視線が集中した。これは彼女に対する厭忌ではなく、哀れみの気持ちを表しているのだろう。


…くだらない。本当にくだらない。
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