真実の愛に気づいたとき。
思いもよらない展開。私と似た価値観の子が大学内にいたという事実。この時ふと思った。


もしかしたら、私たちみたいな子って知らないだけで他にもたくさんいるのではないか…と。


食堂内をぐるりと見渡した。


二人組でご飯を食べている人たち、三人以上のグループで固まっている人たち。側から見たら仲良しそうに見えるが、果たしてその友情は本物なのだろうか。心から安心できる居場所なのだろうか。集団でいながらも、孤独を感じているのではないのだろうか。


「…案外、私たちみたいな人って多いのかもね」


自然と口から漏れた言葉。ガヤガヤと騒がしい空間に掻き消されるほどのか細い声。


私のその言葉は誰に拾われるでもなく、空気と同化していった。






その日、岡本さんと連絡先を交換した。


『未央って呼んで!私もひかりって呼ぶから!』とひまわりのような笑顔で彼女はそう言った。


一度も名乗っていないのにフルネームを知っているなんて。よほど広範囲に渡って噂が流れていったんだと思うと、若者特に学生の情報網は恐ろしい。


新しく友達追加されたメッセージアプリ。嬉しさで顔が綻ぶ。


このことを松村さんに連絡しようと彼の業務用のアドレス宛にメールを作った。多分、電話で言うほどのことではない。



【西田です。お仕事お疲れ様です。
聞いてください!実は今日、大学で友達ができたんです!
松村さんは、周りを気にせず我が道を行くタイプの人間は大学にあまりいないって言ってましたけど、実はいたんです!
声を掛けられて、私のこと前から気になってたって言われました。
松村さんにはお世話になっていましたから、お伝えします】


長くなっちゃったかな。多分、返事は来ないだろう。でも目だけ通してくれたら嬉しいな。
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