真実の愛に気づいたとき。
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あの日を境に私は未央と行動を共にするようになっていた。学部が違うだけに講義は別々だが、お昼を一緒に食べたり途中まで一緒に帰ったり、今までとは真逆の大学生活になっていた。
最初は、私たちが一緒に居るところが異様だったのか他学生の目線も多かったが、だんだんと気にならない程度になってきた。
いつものように食堂の二人席でお昼を食べる。一番奥の隅が心地いい。
「ひかりってさ、彼氏とかいんの?」
つい最近までは周りから聞こえてきていた会話の内容がまさか私たちの間に流れるなんて思わなく、持ちかけていた箸をポロリとトレーに落とした。
「あれ、図星?」
「は?いないいない、友達ゼロだった私に彼氏なんてできるわけないじゃん」
慌てて箸を持ち直す。
「じゃあさ、好きな人とかは?男と会ったりとかもしてないの?」
そう言われ、ふと松村さんの顔が頭をよぎった。
あれからメールの返信は来なかった。私が変な告白をしてしまったり、キスやハグをねだってしまったことが原因で、恐らく呆れられたか本気で引かれたかで、もしかすると私の連絡を全てブロックされたのか。
メッセージアプリなら相手が読んだことを知らせるマークが出るが、メールだとそれがない。
気になっても仕方がないとあまり思い出さないようにしていたが、この話題で嫌でも彷彿させる。
「まぁ…それは…」
「まじ!?気になるわー。何繋がり?」
「たまたま出会って、色々相談に乗ってもらってた」
ここだけ切り取ると、怪しい関係に思われてしまいそうだ。いや、あながち間違いでもなさそう。
「何その曖昧な感じ〜」
「そっちはどうなのよ。いるの?そういう人」
松村さんのことを変に深掘りされたら答えられないことも質問されそうな気がして強制的に話題変更した。
「彼氏はいないけど、ご飯とかよく行ってる人いるよ?」
「友達以上恋人未満ってやつ?」
恋愛はそのラインを越えるか越えないかの瀬戸際が一番ドキドキして楽しい時期とよくいう。
「いや、そういう関係ではないよ」