欲望の飴と飴売り少女

川野くんが切れていた。怒られている山下が面白く見えた。

「山下さん教えてあげるよ!」


本来なら教えないが…今日は特別だ。川野くんが見ているから。


「え!本当」
山下が目をキラキラさせる。そしてあたしの手を握る。触らないで欲しい。

「木原さん頼んでも平気か?つぼみアホだけど」


「大丈夫だよ!川野くんは自分の勉強しててよ」

「そうだ、そうだ!亮太はすっこんでろ!」

すっこんでてほしいのは、お前だから。

あたしは山下の席まで行った。山下の席は川野くんの隣だ。


川野くんに気に入られたから山下の問題を見たが、普通に頭がいいと思う。


「山下さん、普通に解けてんじゃないの?」


「でも私、亮太が目指している高校を目標にしてるから難しい問題も解けるようにしたいの!」



「へー、すごいね」


その目標があたしは腹が立った。あたしは棒読みで返した。
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