欲望の飴と飴売り少女

山下に教えている内に正午になっていた。
「あ!12時過ぎた!お昼にしよう!」

山下が馬鹿でかい声でみんなに言った。山下は勉強が飽きたらしい。

さっき見たお手伝いさんがサンドウィッチを持ってきた。あと、オレンジジュースも。

あたしは一回席に戻った。席に戻ると岡田さんが何回も話しかけてきた。まじでうざい。


「木原さん、どうしてそんなに頭が良くなったの?」

「さぁ、知らない」


「そ、そう…木原さんって川野くんのことばっかり見てだけど好きなの?」

しつこいし地味めがねには関係ない。関係ない事に首を突っ込まないで欲しい。

あたしは、右側に置いていたオレンジジュースのコップを右の肘で押した。


ビチャッ…と溢れた。

「ごめん!!」

あたしは、大きな声で謝った。まるであたしが間違って倒してしまった様に。

「うわぁー。大丈夫?」

山下が布巾を持ってくこっちに来る。

「ごめん!少し服にかかっちゃったよ?」

あたしはまた謝った。勿論悪いとは思っていない。





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