欲望の飴と飴売り少女


生徒指導の先生があたしに向かって怒鳴ろうとした。


あたしはポケットからあめを出した。そして飴を口に入れた。



「木原、なめてんの…あれ、俺はなにしてたっけ…」



「先生、忘れちゃったんですか〜?先生は校舎の見回りしてたんですよ」


わざとらしく言った。


「あ、あーそうだったけかな」


「はい、そうですよ!」


あたしがそう言うとこの部屋から出ていった。


「先生、どうしたんですか?」




ポカーンとした顔の担任に話しかけた。



「あれ、俺も何してたんだっけ…」


担任が間抜けな声で応えた。



「先生まで忘れちゃったんですかぁ?あ!用事あるんで帰ります。先生さようなら」



「え?あぁ、気をつけて帰れよ」


下手に説明してばれると厄介だから今は逃げよう。
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