欲望の飴と飴売り少女
「何時だろう…この家時計ないから、分かんないな!」
首を左右に傾けた。
「時計がないって…どういう生活してんの」
「う〜ん…私の自由に?」
なんなのこいつ…どうやって生きてんだよ?
「ねぇ、なんかこの部屋だけ不気味じゃない?」
あたしはその部屋のドアを指差した。
その部屋のドアは普通なんだけどなんか嫌な雰囲気がする。
「この部屋はねぇ、私だけの秘密なの!」
「はい、はい。また秘密ねー」
「春香ちゃん!はいは一回だけだよ!」
同い年くらいの見た目なのにこの子は少し幼い。
なんでだろう…この部屋の前だけ寒気がする。
夕焼けが沈み始め暗い色になりかけているのが更に君が悪い……やばっ!
あたしは、「やばっ!」と思ったところだけ声を出してしまった。