Elevator Girl

1月26日

         ***

オープンまで、あと20日。

バレンタインの日にオープンするから、カップルが気軽に立ち寄れる店になればいいんだけど。


ここ最近、フォンダンショコラをつくる度、あの医者の笑顔が浮かぶ。
好きなんだったら、試作品を食べてもらおうかな、なんて。
でも4Fに行く勇気は出ないまま。


そんな時だった。
カフェにすごい勢いで誰かが飛び込んできた。

「だ、誰?!」

「薫さん、助けてくださいっ!!
もう合コン、デートはこれ以上ごめんです!」


よく見ると...相模くんだ。

「だからって、普通ここに逃げ込んできますか?
こっちは開店準備で忙しいんです!」

「薫さん、フォンダンショコラつくって下さい」

また、子犬みたいな笑顔。
母性本能くすぐって...。

「...時間かかりますよ?」

「いいんです!」


仕方なくつくり始めると、相模くんも何かの勉強を始めた。


「その資料、何?」

「英文です。僕も一応精神科医なんで!でも、静かに読む場所がなくて...」

豆をひいてコーヒーをいれる。フォンダンショコラもいつもより丁寧につくった。



「どうぞ」                                                                                                                    
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