Elevator Girl
一口食べて、相模くんの笑顔がはじけた。

「うまっ!ほんと、食べたかったんですよ。
薫さんがいなくなった以上、53Fの合コンは耐えられません」

「お医者さんなのに、忙しいでしょ。ご苦労様です。
私はここにずっと一人なんで、もう曜日とかの感覚もなくしちゃいました」

「僕のカウンセリングが必要ですか?」

「いいえ、全く!
あ、この前のこと、行き倒れって...ひどくないですか?」

「お陰様で、僕の好感度が上がっちゃいました」


一瞬で完食されたお皿を見ると、自然と笑みがこぼれる。





その時、聞き覚えのある声が私を呼んだ。
……まさか、



「津田、」


「...チーフ」

「何で、いきなり辞めたんだよ。挨拶の一つぐらい、していけよ」


「...なんか、言えなかったんです。ごめんなさいっ」


笑ってごまかしながら、何だかチーフの様子がおかしいと思った。

「今日、つきあってよ」

「いやですよ。チーフと飲みに行って、今までいい思い出ないです。
この前も...水ぶっかけてしまったしっ」


「俺、正直嬉しかった。あんな風に俺のこと考えてくれてて、

...俺も、津田のこと、ただ信頼おけるだけじゃない、それ以上の気持ちで15年、一緒にいたのかもしれない」



突然強く抱きしめられる。



うそ、まって、
なんで今だきしめるの、


それ以上に気持ちが、ゆれて、...やだ                                                                                                         
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