Elevator Girl
目の前がぼやけ始めて、目頭に力をいれる。


「……相模くん、これ以上、なにも言わないで」


返事の代わりに、優しく抱きしめられた。
その腕が優しすぎて、涙をおさえきれない。



奥さんとうまくいってない?
それとも、お酒に酔ってたの?


私が、必要になった……?



相模くんに抱きしめられながら、考えるのはチーフのこと。
どうやっても期待してしまう。



………結局、私が一番寂しがり屋なだけ。




「…精神科医の相模くん、私を治して下さい」


「じゃあ、…桜庭さんのことばっか考えるの、やめて下さい」

「………それは」

「僕のことも、考えて下さい」


「…どういう意味」


唇が奪われる。

三度目にもなると、なれた、はずなのに
鼓動が高なった。

急に恥ずかしくなって、突き放す。





「明日も、来ていいですか?」


「…勝手にして下さいっ」                                                                                                           
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