Elevator Girl
しばらく無言で見つめあったあと、
お互いこらえきれなくて吹き出した。


「相模くんは優しいね。正しくて、素直だよ。
そういうとこ、若いなって思う」

「それは、、ディスってるんですか」

「ううん。違う、尊敬してるの。

2Fに移動になった時、プライドが許さなかった。
でも本当は、自信がなかっただけなのかもしれない。

相模くんに出会って、話して、フォンダンショコラ食べてもらって……

自信がでた。やってやろう、って思った」


相模くんは真剣な顔をして、聞いている。
こんなとこまで、真面目。


「だから、ありがとう。

オープン初日、最初のお客さんが、相模くんだったらいいな」

「行きます、絶対行くんで、待ってて下さい!」


りんとした表情で、力強く言われると、
半分言わせたようなセリフも、何だかこそばゆい。



「薫さん?顔、赤いですよ。熱ですか?」


「相模くんのせいでしょ!」

近づいてこられると、ダメだ、と思って逃げ出した。


なんだか幸せだ、

一瞬そう思った。                                                                                                                
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