Elevator Girl
胸が詰まりながら、ゆっくりと口を開いた。
「……桜庭ってさ、意地っ張りだよね?」
「え」
「2年前結婚するまで、一度もそんな彼女がいるなんて言ってくれなかった。
料理も納得いくまですごく練習してるの、みんな十分の一も知らない。
後輩にも厳しいけど、後輩のこと気にかけてるのは、桜庭が一番だって、私は思う」
言いながら、こんなことが前にもあったと思った。
桜庭を励まして、元気づけて、立ち直らせるのは、調理師学校の時から私の役目だった。
「でも、プライベートは別にしないと!
分かりにくいのはやめて、言葉にしないとダメ。
奥さん桜庭に、話して欲しいんじゃない?仕事のこと、悩みとかも全部。
桜庭は料理してる時が一番輝いてる、そこに自信もて!」
私が桜庭を励まして、桜庭が私を励まして。
二人で団結して、がむしゃらに頑張ってた時があった。
いいバディだったよね、私たち。
今ならそこに、戻れる気がする。
「……かおる」
桜庭の腕が、優しく私を閉じ込めた。
「………これは友情を確かめあうハグだよね?桜庭、そうだよね?」
「………そうだな」
深い息を吐いて、桜庭は振り切るように私から離れた。
桜庭の下手くそな、でもすっきりした笑顔を見て、
この15年の恋がやっと終わったことが分かった。
「……桜庭ってさ、意地っ張りだよね?」
「え」
「2年前結婚するまで、一度もそんな彼女がいるなんて言ってくれなかった。
料理も納得いくまですごく練習してるの、みんな十分の一も知らない。
後輩にも厳しいけど、後輩のこと気にかけてるのは、桜庭が一番だって、私は思う」
言いながら、こんなことが前にもあったと思った。
桜庭を励まして、元気づけて、立ち直らせるのは、調理師学校の時から私の役目だった。
「でも、プライベートは別にしないと!
分かりにくいのはやめて、言葉にしないとダメ。
奥さん桜庭に、話して欲しいんじゃない?仕事のこと、悩みとかも全部。
桜庭は料理してる時が一番輝いてる、そこに自信もて!」
私が桜庭を励まして、桜庭が私を励まして。
二人で団結して、がむしゃらに頑張ってた時があった。
いいバディだったよね、私たち。
今ならそこに、戻れる気がする。
「……かおる」
桜庭の腕が、優しく私を閉じ込めた。
「………これは友情を確かめあうハグだよね?桜庭、そうだよね?」
「………そうだな」
深い息を吐いて、桜庭は振り切るように私から離れた。
桜庭の下手くそな、でもすっきりした笑顔を見て、
この15年の恋がやっと終わったことが分かった。