Elevator Girl
久堂さんの事をかいつまんで話すと、静さんはにこにこし始めた。

「何悩んでるのかな、と思ったら。
行っておいでよ。ちょうどお昼休憩でしょ」

「でも!」

「とりあえず行ってみて、そこから考えてみたら。
久堂さん、待ってるよ」



それもそうだ。

待ってる……よね。

いつまで待ってるかな。



そう思うと、何だか気がはやる。

「…行ってみます、とりあえず、ですけど」





2Fに到着するなり、慌ててカフェまで走った。

バタバタとうるさい足音に、久堂さんが振り返る。


「……日向さん」


何よ、そのびっくりした顔は。

「来ないと思ってました?」


意地悪く笑うと、久堂さんは照れたように目を泳がせた。

「……来てくれて、嬉しいよ」


恥ずかしそうな笑顔に、思いがけず胸が鳴った。


こんな顔も、するんだ…。

いつもは、どこか一歩引いた冷静な雰囲気があるのに。                                                                                          
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