Elevator Girl
「一本芯の通った子だと、関心していた。無茶な要求にも、必死にしがみついてくる。

いつの間にか、あの短い時間を楽しみにしている、自分がいた」


「久堂さん、…あの、私」


「覚えてないなんて傷付くな。こっちは、もしかしたら一目惚れだったかもしれないのに」

「えっ、…」


戸惑っている私を見て、
困らせたかな、と微笑した。


どう返事をしたらいいのか分からず、下を向く。

急な展開に頭はついていけない。
その代わりに、鼓動が激しくなっていた。



どういうこと…?

エレベーターガールへの熱意?

そんなの、就職面接の時しか…


そこまで考えてはっとした。
久堂さんはいつも、10Fから乗ってくる。

もしかしたら、私の会社B.C.Building lncの人事部の…?


「次会った時には、思い出していてほしいな」

「そんなすぐ……、また無茶振りです」


「すぐじゃない、しばらくアメリカに行くんだ。

…いつ戻って来られるか、分からない」


「アメリカ…」


「難しい、でもやりがいのある厄介な仕事のせい。

…無事に帰って来れたら、またこんな風に誘ってもいいかな」                                                                                                                     
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