Elevator Girl
         ***

私を含むエレベーターガールは、このB.C.Square TOKYO ビルの8Fから10Fを占める、

B.C.Square lnc という会社に勤めている。

世界各国のビルを所有する不動産会社で、

このB.C.square TOKYO はその拠点となるビルだ。



エレベーターガールなんて時代錯誤の現代、

先細りになった、エレベーターガール制度を再興させたのは、なんでも、我が社の現社長らしい。



お客様をおもてなするために、ビルの快適な環境づくりのために、エレベーターガールが必要だと。



そのために、エレベーターガールはビルの全ての情報を把握し、

同時に漏らさないことを要求される。



そんな、ビル全体を陰で支える役割と、

おもてなしの繊細な気配りに憧れて、エレベーターガールを志望したのだ。






「面接のことを知ってるなら、やっぱり人事部の人かしらね」

「静さんも、そう思います?」


「でも、謎な人だから、久堂さんは」


「そんなこと、言わないで下さい。本気で悩んでるんですから!」



8Fのデスクで、コーヒーを片手に過ごす休憩時間の話題は

もっぱら、久堂さんの話。                                                                                              
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