Elevator Girl
「でもさ、気になってるんでしょ、あおいちゃんも。

久堂さん、イケメンだしね?」


「や、でも、面倒な人ですよ。無茶振りがすごいし」


「そんなこと言って!楽しんでるじゃない、最近は。

お店の情報は一番乗りだし、先に食べに行って味を確認したり」


「それは…、久堂さん、おすすめすると必ずそこに行くから、逆に気になって…」


「久堂さんがお昼ご飯のおすすめ聞くなんて、あおいちゃんが初めてよ?

…愛情ね」




だんだん分が悪くなって、私は小声で


分かりにくいんです、

と不満混じりに呟いた。




「…それに、言い逃げも甚だしいです。

肝心な事は何も言わないし、ずるいです、久堂さんは」



「じゃあ、あおいちゃんは素直にならなきゃね。

素直に好きって認めて、次に会った時に備えないと。


久堂さんの秘密の壁は、簡単には壊せないわ」




静さんの瞳が、逃がさないとばかりに私を見つめる。

いつもは優しい先輩の、秘めた力に圧倒されて、


自然に首が縦に動いた。                                                                                                            
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