いつまでも弟だと思うなよ。
「え、ちょ…っ」
可奈が抵抗するより先に、俺は彼女の首筋に自分の顔を埋めた。
「…ッ!」
ビク、と彼女の肩が動いたのは、少しチクリとしたからだろうか。
「可愛いのは、俺じゃなくて可奈の方だよ」
「…〜っ」
思いの外顔を赤くしてくれたことに満足する俺。
本人はまだ気付いてないであろう首筋に咲いた紅い痕に、クスリと笑った。
「明日からまた一緒に登下校な。アイツとなんか帰ったら今度こそ口聞かないから」
「えっ!?」
こう言えば、可奈は絶対俺との約束を守ってくれるのは分かってる。
卑怯だと言われてもいい。
可奈にとって俺は、そばにいるべき特別な人間だと分かっているから。
今はその特別が "幼馴染" でも、絶対に別の形に変えてみせるんだ。