いつまでも弟だと思うなよ。
口を濁す私と、それを見てニヤニヤする美沙。
……分かってるくせに。
チカとのぎこちない関係が終わったあの日から、チカは再び私と登下校を共にするようになった。
真田くんとの噂がまだはっきりと残る中のチカとのそれは、もちろん大注目を浴びたわけで。
『あんな誰が流したかも分からない噂より、こっちの方が信憑性ない?』
それなのにあの子は、周りに生徒がたくさんいる中でわざわざ私の手を握ってそう言ったんだ。
当然、校内で大人気らしいチカのその発言は一瞬で広まり…。
「私の立場は大して前と変わらないじゃんっ!!」
"真田くんと私"の噂から、"チカと私"の噂に早変わりした。
「でも、肝心の可奈子の大好きな千景くんとの仲は良好なんでしょ?」
「…なんかそれ誤解生まない?」
「さぁ?」
やっぱり楽しんでる美沙は、わざとらしくクスリと笑う。