いつまでも弟だと思うなよ。
確かにチカのことは大好きだけど、あくまでもそれは家族愛。
弟…には思えなくなってきた部分もあるけれど、それが恋愛かと言われたら違う気がする。
「でも確かに、チカのトゲトゲはなくなったなー。完全にこの前のツンデレ期に戻ったみたい」
「だからそれツンデレとは違うと思うんだけど…」
「ん?」
「いや、なんでもないでーす」
最近の美沙は楽しそうだな。
ふとそんなことを思った。
放課後になって、相変わらず周りに噂されながらチカと帰るいつもの道。
「あ」
「え?」
突然、チカが声をあげた。
「そういえば、母さんがこの前の夏野菜のお礼に可奈ん家にジャムあげるってさ」
「え、本当!?」
「うん。今日作るって言ってたから、夜にでも届けに行くよ」
チカの言葉に大きく頷く。