いつまでも弟だと思うなよ。
「………」
「な、なに?」
隣に座った私を、チカはジッと見つめてくる。
そしてからの、大きなため息。
「危機感ゼロだね、可奈」
「へ?」
呆れたように、けどイタズラを思いついた子供のように、チカがクスリと笑った。
「可奈。ちょっと体ごと反対向いてみて?」
「え?…こう?」
「うん、そう」
何を企んでるのかも分からず、とりあえず言われた通りに、チカに背中を見せるように体の向きを変える。
────ギュッ
後ろからの温もりを感じたのは、そのすぐ後だった。
「クスッ、いい子すぎでしょ。無防備」
「な…っ!」
チカの声が、耳元で聞こえる。
私の体は、後ろからチカに抱き締められていた。