いつまでも弟だと思うなよ。
後ろから抱き締められてる状態だから、チカの表情は読めない。
けど、意地悪な顔をしてるのだけは想像がついた。
「かーな」
「…っ、」
耳元で名前を呼ばれて、嫌でも体がビクッと動く。
「これ、消えかかってんな」
そして、スッと首筋をチカの指がなぞった。
「ずっと絆創膏で隠してたもんな」
「だ、誰のせいだと…!」
言い返せば、耳元でクスリと笑う声が聞こえる。
「もう一回、つけてあげようか?」
「へ…っ?」
思いもよらない言葉が聞こえた。
そしてそのセリフと同時に、あの日のような、チカの顔が近付いてくる気配がして─────…。