いつまでも弟だと思うなよ。
「本当に大丈夫?」
「うん、平気。昨日遅くまでドラマ見てて…」
「ふふっ、可奈子らしい。あ、そうだ。呼ばれてたよ?」
「え?」
そう言って美沙の指差す先を見ると、こちらに軽く手を振る真田君の姿があった。
あの噂で距離を置いて以来、彼に会うのは初めてで。
「久しぶりだね。どうしたの?」
少し緊張してしまう。
「うん、実はさ。夏休み明け初日に実行委員全学年で放課後集まりがあるらしいんだ。報告しておこうと思って」
「あ、そうなんだ」
かと思ったけど、いつもと様子も変わらず会話ができた。
「なんか宮野、今日元気ない?」
「へっ?」
不意に、真田くんがそんなことを聞いて来た。
急なことで内心ビクッとしたけど、とりあえず平静を装う。