いつまでも弟だと思うなよ。
「ちょっと昨日遅くまでドラマ見てたんだ。だからちょっと寝不足なの」
ニコリと笑って、さっき美沙にも言った嘘を並べた。
本当は、すぐに眠気が襲っていつもより早いくらいの時間に就寝している。
今思えば、その眠気が今朝からの不調の兆候だったのかもしれない。
「あ、そーなのか。程々にしとけよ?」
「うん、ありがと」
けどどうやら、美沙に続き真田くんにも上手く誤魔化せたようだ。
真田くんのいつもの癖か、私の頭を撫でようと手が伸びる。
「────可奈」
が、それは私が誰かに呼ばれたことによって止まった。
多分この時の私は、今日1番の緊張と焦りに見舞われていたと思う。