いつまでも弟だと思うなよ。
振り向かなくたって分かった。
毎日毎日聞いてる声だから。
「真田センパイ。その手引っ込めてくれます?」
「あぁ、誰かと思えば宮野の弟クンか」
心なしかトゲトゲとした2人の会話を聞きながら、そっとその人物を見上げた。
バチ、と目が合い、怖いくらいに無表情を浮かべてるのは間違いなくチカ…いや、チカさんで。
「このアホ可奈」
「う…」
暴言を吐かれた時点で、全てバレたことを悟った。
「何度?」
「……」
「可奈。何度?」
「…、7度くらい、かな」
「正確に」
「7度8分…です」
今朝家を出る前に計った体温を告げると、盛大なため息をつかれる。