いつまでも弟だと思うなよ。



振り向かなくたって分かった。


毎日毎日聞いてる声だから。





「真田センパイ。その手引っ込めてくれます?」

「あぁ、誰かと思えば宮野の弟クンか」



心なしかトゲトゲとした2人の会話を聞きながら、そっとその人物を見上げた。






バチ、と目が合い、怖いくらいに無表情を浮かべてるのは間違いなくチカ…いや、チカさんで。





「このアホ可奈」

「う…」



暴言を吐かれた時点で、全てバレたことを悟った。





「何度?」

「……」

「可奈。何度?」

「…、7度くらい、かな」

「正確に」

「7度8分…です」



今朝家を出る前に計った体温を告げると、盛大なため息をつかれる。



< 129 / 214 >

この作品をシェア

pagetop