いつまでも弟だと思うなよ。
「ったく…」
視界の端で、バサッ、とチカがブレザーを脱いだのが見えた。
背中に何かがかかる感覚がしたから、恐らくチカが寒気のある私にかけてくれたんだと思う。
「ほら」
目の前に、チカの手が差し出された。
「…ん」
その手を握って、チカに支えられながらゆっくりと立ち上がる。
フラフラとする足で立ち上がれば、チカが支えるかのように私の腰に手を添えた。
私の鞄は…?なんて、回らない思考のどこかで思ったけど、多分チカが持ってくれているんだろう。
「じゃ、可奈連れて帰ります。可奈の担任に伝えといてもらっていいですか?」
「うん、分かったわ」
そんなチカと美沙の会話を何となく聞きながら、私はチカにもたれるように倒れ込んでそこで意識を失った。