いつまでも弟だと思うなよ。
授業が始まると、当然私の後ろには真田くんの気配がある。
なんだか少し緊張してしまうけど、なんとか普通に授業は受けることができた。
「宮野って案外頭いいよな」
「案外って失礼じゃない?」
「ははッ、悪りぃ悪りぃ」
そんな話をしたのは放課後のこと。
ケラケラと悪びれることもなく笑う真田くんに拗ねたフリをした。
「でも確かに、可奈子って地味に頭いいよね。特に数学」
美沙までもが真田くんに便乗し、褒めてるのか貶してるのか判断が難しい言葉を投げかけてくる。
「2人とも私をなんだと思ってるの」
「「だって…」」
その言葉の先は聞かないでおこう。