いつまでも弟だと思うなよ。

「右だけ？」

「へ？」


そして、チカは私の手首に目線を落として聞いて来た。





「だから、さっき触られた方。右手以外他にある？」

「いや、ないけど…」



とりあえず答えてみれば、ふわっと右手を持ち上げられた。





「こんなに赤くなって」



掴まれたせいで赤くなってしまった手首がチカの目に写る。





そして、次の瞬間。





───ちゅ、



チカの唇が、私のその手首に触れた。







「ちょ、チカ…っ！？」

「消毒」



そう言ってチカの唇は私の手首周辺を這う。





「や、やめ…っ」

「ほんっと、ムカつく」

「ちょ、待っ…！ひゃ…っ」



くすぐったくて、恥ずかしくて。



それなのに、全力を出せば解けるはずのその手を振り払うことはできなかった。