いつまでも弟だと思うなよ。
「行くよ、可奈」
「え、早っ!待ってー!」
準備も終わり、呑気に母さんと話してる可奈を置いて先に玄関を出る。
後ろから慌ててパタパタと俺を追いかける音に、どこか満足感を覚えた。
「あ、今日私委員会で遅くなるから先帰っててね?」
思い出したかのようにそう言う可奈。
けど生憎、俺も今日は委員会の予定がある。
「俺もあるから待ってるよ。一緒に帰ろ」
「え、そうなの?」
キョトンとした顔を浮かべていて、なんだかそれがおかしくてクスリと笑ってしまった。
「なんで笑うのっ!?」
「や、別に…っ、ははッ」
「もう〜っ、何よー!」
可奈もつくづく鈍感というか、アホというか。
自分と同じ日に俺も委員会だなんて、こいつは何も疑問に思わないんだろうか。