いつまでも弟だと思うなよ。
「ていうか、真田くんだって…」
ムッとして、私も彼のデザイン画を奪ってやった。
その絵を見て、プッと吹き出してしまう。
「あははっ、真田くんだって人のこと言えないじゃん!何これ、ただ棒人間立ってるだけ?」
そこに描かれていたのは、真っ白な手をつけていない背景に、2つの棒人間が並んで手を繋いでる絵。
繋いでるかどうかも判別が難しい。
だって、2人のその手が1本の線と化しているから。
「うわ、宮野にだけは笑われたくない。犬かウサギかも分からない絵のくせに」
「だーかーら、猫だってば!」
もう一度同じ絵を別の用紙に描いて見せつければ、真田くんには「やっぱりウサギじゃん」と笑われた。
「相変わらず下手くそだな、可奈は」
「…へ?」
ふと、私の頭に重みを感じた。
それと同時に聞こえる聞き慣れた声。