いつまでも弟だと思うなよ。



効率は悪かったけれど、こうして改めて見ると中々のクオリティだと思う。





教室に入れば、薄暗い中にたくさんの別れ道がある狭い道が広がってゆく。



作ったはずなのに、私はもう正しい道が分からない状態だ。






「はい、では。可奈子、いってらっしゃい」

「へ?」




トン、と背中を押されたのは迷路の中ではなく、教室の外。






「実行委員、行かなきゃでしょ?もう時間ないんだから、頑張っておいで」




そう言って美沙はニコリと笑った。





それは作業のことなのか、それともチカとのことなのか。



どちらにせよ、私は彼女に「ありがとう」を告げて、教室を後にした。







「ごめん!遅くなって!」



向かった先は校門前。




うちのクラスとは違って、アーチも看板も全てが完璧に飾られていたそこは、もう既に撤収作業に取り掛かかっていた。




< 192 / 214 >

この作品をシェア

pagetop