いつまでも弟だと思うなよ。
「あ、お疲れ宮野。クラスの終わったの?」
「うん、無事に…!ごめん、手伝えなくて」
真っ先に真田くんに謝れば、「全然大丈夫だよ」と笑ってくれる。
優しいななんて思いながらも、私はチカの姿を探していた。
「宮野」
そんな私を、真田くんが呼ぶ。
「ん?」
チカを探していた視線が、もう一度真田くんへと戻された。
───…あ。
そう思った時にはもう遅い。
「明日の文化祭、一緒に回ってくれないか?…例の返事も、その時に聞かせてほしい」
真田くんの真剣な目、声が、私を捉えて離さなかった。
さっきまで、普通だったのに。
真田くんのこういう急な切り替えには、毎回どきっとさせられる。
「わ、かった…」
私は、小さく頷くことしかできなかった。