いつまでも弟だと思うなよ。




喜ぶお客さんを横目に、一緒に教室の扉をくぐる。




…その前に。



「ちょっと待った」



聞きなれた声が、私を止めた。





「悪いね、お兄さん。こいつ、俺の連れなんで」

「あ?」

「ほら、早く迷路入んなよ。…1人で」





ニコリと笑っているのに、恐怖を感じる。





「チッ、OKしたのその女のくせに」



そのお客さんは、そう私を睨みつけて帰って行った。






「…何してんの、宮野」


残されたそこで、真田くんは呆れ顔で私を見下ろす。





「あはは…」

「笑えてねーし」



少しだけ、真田くんに止めてもらって安心してる自分がいた。




< 197 / 214 >

この作品をシェア

pagetop