いつまでも弟だと思うなよ。




まさか来るとは思ってなかった好きな人の登場に、動揺しないわけがなかった。






「誰かさんが焦らせるようなこと言うから来たんだけど。文句ある?」



何故か挑発的な口調で、上から目線でチカは返す。





「年下のくせに…」

「その年下のことで頭いっぱいなのは誰だよ」

「なっ…!」




ついいつも感じで文句を言えば、思いもよらない言葉が返ってきて言葉に詰まってしまった。






その時にチカがふっと笑ったのは気のせいだと思いたい。





「可奈」

「…何よ」

「俺、ガキの頃からお前のことで頭いっぱいなんだけど」

「…っ!!」



どうしてくれるのとでも言わんばかりに、チカは私にそう言い放った。





「クスッ、顔真っ赤」



昨日までの険悪が嘘のよう。



チカは、意地悪にそう笑ったんだ。




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