いつまでも弟だと思うなよ。
「可奈には分からないだろ。弟にしか見られなくて、2歳の距離を埋めるのにどれだけ必死だったか」
チカの言葉が、耳を掠める。
「好き過ぎて、嫉妬すんだよ。アイツの前では、可奈は俺の知らない部分を見せてる」
「…っ、それは」
それは、同級生だから。仲良しの友達だから。
チカとは、また違った関係だからだ。
「だから、ムカつき過ぎて意地張った。そんなことしたって可奈にはガキだって思われるだけだけど。そのくせ、離れたら本気で捕まえられなくなりそうで離れられない」
笑ってくれていいよと、チカは言う。
あぁ、どうしよう。
「へへっ」
「うわ、本当に笑うのな」
「違うって。…嬉しくて」
こんなに嬉しいのは、初めてかもしれない。
チカの背中に、腕を回してぎゅっとシャツを握る。
「チカ、私も一緒だよ」
「は?」
「2つ差って、遠いなって。私も嫉妬して意地張ってた」
まさかチカも同じことを思っていたなんて、想像もしていなかった。