いつまでも弟だと思うなよ。
本当は、今直ぐにでもめちゃくちゃにしてやりたいくらい、可奈の全部が欲しい。
けど、こうして横に並ぶだけでも不思議と心地いいから、俺はそっちを選ぶ。
「可奈」
「んー?」
「もっとこっち来て」
近くに来るよう促せば、可奈は寄って来てくれた。
「甘えただね、チカ」
「可奈も人のこと言えないけどね」
クスッと笑えば、彼女も笑ってくれる。
「可奈」
「今度はなーに?」
「大事にするから」
俺がそう言えば、可奈は驚いたようにこちらに顔を向けた。
「…っ、え?」
「だから、大事にするって。可奈のこと」
可奈は知らないんだろう。
俺がどれほど前からお前が好きだったのか。
どれほど嫉妬して、今こうして隣にいることを喜んでいるか。
大切にしないわけがないじゃんか。