いつまでも弟だと思うなよ。
***
「チカ、おはよーう!」
それからの朝も、いつも通り。
可奈は、俺に会いに部屋まで来てくれる。
文化祭が土曜日だったことから、月曜である今日は振替休日だ。
それなのに何故可奈が今ここにいるのかというと。
「…眠いんだけど」
「えー、ケチー」
「何だよケチって」
俺にも、よく分からない。
大方、可奈のことだから暇で来たんだろうけど。
「チカ、起きてー」
ユサユサと俺を揺らす可奈の首元には、例によって絆創膏が貼られている。
はぁ。誰だよ、年上ぶってたやつは。
────グイッ
「…わっ!」
俺は、駄々をこねる彼女を自分のベッドへ引き込んだ。
「うわ、近」
「ひ、引っ張ったのチカの方でしょ…!?」
予想外の近さにポツリと零せば、俺以上に驚いたらしい彼女は顔を赤くして慌てる。
それがなんだか可笑しくて、可愛くて、俺は彼女をギュッと抱き寄せた。