いつまでも弟だと思うなよ。
「…可奈。今俺がどんな気持ちが分かる?」
真田くんに告白された後の、チカちゃんとのこの距離。
頭の整理が追いつかなくて、動揺しないわけがなかった。
「そんなの、分かるわけないよ」
明らかに声のボリュームが衰退してる。
「まぁ、そうだよな。可奈には全く伝わってねぇもんな」
「………」
ははっ、と自嘲的な笑みを漏らすチカちゃん。
「何度、可奈より年下な事を恨んだか分かんねぇよ。…どれだけ頑張っても追いつけなくて、俺ばっかりが追いかけるのに必死でさ」
「チカ、ちゃん…?」
「可奈。俺、弟じゃねぇんだよ。いい加減、ちゃんと男として見ろって」
切なげで、けど熱を帯びたチカちゃんの視線。
それからどうしても目を逸らせなくて、距離が縮んでるのが分かってるはずなのに、金縛りにあったかのように動けなかった。
「───んっ…」
チカちゃんの唇が、私の唇に触れた。